【レポートup!】第35回「身近な統計のはなし -不確実な現象の扱い方-」
公開日 2011年09月21日
日時: 平成23年9月21日(水)19:00~20:30
話題提供者: 松田 忠之 (経済学部教授)
不確実な現象の扱い方を紹介し、世論調査、ポートフォリオ(分散投資)、生物界にみられるランダム性、降水確率など、身近なわかりやすい例を用いて統計学の考え方をお話しします。
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一見偶然が支配しているかのようなカジノのルーレットですが、必ず勝つのはカジノ側。というのも、ルーレットはカジノ側にほんのわずか有利にできており、個々の賭けでは何が起きるかわからないが、長い期間で平均するとカジノ側が必ず勝てるというわけなのです。
こうした現象は「大数(たいすう)の法則」によって説明でき、言い換えれば、“無秩序のなかの法則性”というものがそこには存在しています。
統計的な考え方は、より身近なところでもいかされています。例えば、世論調査を行うとき、固定電話による調査は携帯電話しか持たない若者世代の回答を得られず、偏りのある結果になるでしょう。
偏りのない情報を得るためには、調査対象となる標本を無作為(ランダム)に抽出することが必要であり、そのための標本抽出方法に統計的な考え方は欠かすことができないのです。
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また、確率と聞いて思い浮かぶのが、お天気の「降水確率」。何%という予報は、過去において、前日の天気の状態が今日観察されたようなものであった場合、その翌日に雨が降った割合を表しています。
しかし不確実性がつきまとうのもお天気。それは気象がわずかでも条件が変化するとその後の現象が大幅に変わってしまう「カオス」系だから。今日の科学技術をもってしても正確な天気予報ができないのは、このカオスのためなのです。
その他にも、統計的手法は、証券のポートフォリオ(分散投資)のような経済活動や、格差や貧困の測定といった分野でも用いられていますそれぞれの数字を正しく理解するためには、その数字がどのように導き出されたものであるのかを知っておくことが大切です。
<アンケートから???>
?平均というものを信じる前にヒストグラムや分布を見て確かめること、平均値と中央値の違いを知っておくことなどが大切とのこと。統計とは数字の操作方法しだいで簡単に人をミスリードしうるものだから、それを読み解く知識が必要だと感じました。論より数字、勘より統計というフレーズのように、私たちの身近に浸透している統計を再確認しようと思いました。