[実施報告] 2024年度JICA課題別研修「中央アジア地域広域観光開発政策」
公開日 2024年12月19日
CTRで2023年度よりJICA関西より委託を受け、課題別研修「中央アジア地域広域観光開発政策」を実施しています。
※本課題別研修の詳細はこちら
2年目である今年も、CTR研究員である八島 雄士教授(観光学部)、香月 義之教授(観光学専門職大学院)を中心に、中元 一恵国際特命コーディネーターや田辺市熊野ツーリズムビューロー協力のもと、昨年同様に講義やフィールドワーク、グループワーク、プレゼンテーションを盛り込んだ研修プログラムを企画?運営しました。中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)より各国2名、合計10名の研修員が参加し、8月20日の遠隔研修から10月1日のアクションプランのプレゼンテーションまで、約1ヵ月半に及ぶ研修を実施いたしました。
8月の遠隔研修では、研修の概要紹介、各研修員による自国の紹介および来日して学びたいことについてのプレゼンテーションが実施されました。また、前年度に参加した研修員4名との意見交換も行いました。実地研修へ参加するに当たっての情報やアドバイス、また帰国後に感じた観光課題についての考えを知ることができ、今年度の研修員は研修の目的や参加へのイメージ作りができたようでした。
9月には研修員10名が来日し、11日より和歌山大学での実地研修がスタートしました。1週目は観光庁や近畿運輸局、国連世界観光機関(UN Tourism)駐日事務所、田辺市熊野ツーリズムビューローより講師を招き講義を行いました。本学教員による講義も行われ、行政、民間、高等教育機関から様々なレベルでの講義を受け、日本版DMO(観光地域づくり法人)の制度や仕組みや持続可能な観光への取り組み等について学び、活発な質疑応答が行われ理解を深めていました。
2週目はフィールドワークを実施し、田辺市熊野ツーリズムビューローなどのDMO、秋津野ガルテンや合気道資料館、南紀白浜空港等を訪問し、観光地経営や観光産業、地域住民を巻き込んだ実際の取り組みについて学びを深めました。熊野本宮大社や那智の滝も訪れ、日本の文化や伝統に触れ、自国との違いや観光における新たな視点を得たとの感想もありました。また熊野古道では道普請を体験し、観光地の保全活動にも積極的に参加しました。
3週目には、講義とフィールドワークで得た知識や経験をもとに、研修員各自で、自国の観光における強みや弱みを分析しました。
また、東京?ビッグサイトで開催されたツーリズムEXPOジャパンに参加し、日本や世界各国の展示ブースを訪れ、観光促進のブランディングやプロモーションを学ぶ機会となりました。さらに、日本の旅行会社との面談も実施し、中央アジアの観光に関する現状や課題等、意見交換も行いました。
今年は東京へ訪れた機会を利用し、観光インフラ整備やオーバーツーリズムの視点から秋葉原や原宿を訪問しました。東京を初めて訪れる研修員も多く、交通手段の多様性やオーバーツーリズムへの意識といった観光の重要な側面を体験し学ぶ機会となりました。
そして研修成果である最終発表として、10月1日にアクションプランのプレゼンテーションが各国毎に行われました。約3週間の実地研修を振り返り、中央アジア5カ国が連携し、観光開発を進めていく様々な施策提案が発表されました。
現状は、各国のインフラ整備や5か国間での网易体育面等で課題は多いものの、オンラインプラットフォームの設置といった連携した取り組みの具体案も提案され、本研修を通じての研修員同士のつながりが2年目で強くなった印象が伺えました。この研修が中央アジア5か国における広域観光開発に向けての一助となるよう、来年度?最終年度の実施に向けて、引き続き取り組んでいきたいと思います。