プロジェクトタイトル | 観光と持続可能な開発目標:観光企業のコミットメント?その動機と活動 |
研究ユニット | Sustainability |
代表者 | Graham Miller |
メンバー | 加藤 久美, 岡田 美奈子(和歌山大学大学院観光学研究科 博士後期課程) |
プロジェクト期間 | 2018年5月1日~2019年3月31日 |
プロジェクト概要 | 本調査では日本の観光企業について、SDGsへのコミットの現状を調査し、サステナビリティへの理解、推進方法を検討する。UNWTOレポート「Tourism & SDGs (UNWTO, 2017)」に見られる世界の観光企業のSDGsへのコミットの傾向(目標?ターゲットの選択、動機、活動内容)を土台とし、日本の企業について全体像を得るとともに、多様な事例を収集する。特に「ジェンダ平等の実現」や「平和と公正」など、サステナビリティの基本的コンセプトに関する目標(SDG3, 5, 13, 14, 16)について現状を調査する。本調査で得た基本情報をもとに科研申請を行い、企業がよりサステナビリティに貢献する方策をより長期的に探る。並行して、サステナビリティにおけるリーダー育成研修など、サステナビリティ推進のよりよい方策も試みて行く。 |
活動報告
観光企業によるSDGsへのコミットとしてはコペンハーゲン、タイ、スリランカなどに優れた事例が見られる。それらの事例から得られた知見を元に、本調査は2段階で行った。第1段階の基礎調査では観光企業におけるSDGsへの認識、具体的アクションについて調査を行なった(交通、宿泊、旅行、53社)。シェアバイク事業、ソーラー発電の導入、植林などのボランティアツアー企画、CO2削減目標の設定などいくつかの特に気候変動に関する事例が見られた。自治体においては2018年に選定されたSDG未来都市(29自治体)などから選定、調査対象とした。政策全体にSDG を取り入れる動きがあり、今後観光政策にも反映されると考えられる。事業者については、SDGsへのコミットはプラスイメージになることは大多数が認めつつも、「サステナビリティ」についての知識、理解は現時点では限られており、多様なアクションはあるものの、サステナビリティと利益との関連性は明らかでないと言える。
第2段階ではサステナビリティの基本コンセプトに関する目標のうち、特に「ジェンダ平等の実現」について複数の事例を調査した。多様な事業者との聞き取りでは、ジェンダ平等の視点は環境保全、健康、教育、ディ―セントワーク、社会正義、平和など関連性があり、サステナビリティの基本理念と位置づけられることが明らかだった。SDGsはサステナビリティ理解推進には有益なプラットフォーム、ツールであるといえるが、今後ワークショップなどで取組のきっかけ、導入作りが必要であると言える。ジェンダーの平等、環境保全、平和など、明確なサステナビリティの要素へコミットに注目する方法、またその評価方法、リーダー育成研修など、サステナビリティ推進のよりよい方策をさらに探求していく必要がある。本調査に関しては、発表5件、論文2件、外部資金申請2件(科研、観光庁事業各1)を行った。
Conference 12resentations & Public talks:
- Kato, K. (2018). Sustainable tourism generating happiness: Resilience perspective. 3rd International Happiness Forum: Tourism & SDGs (19 September, 2018). Happiness Institute. Musashino University.
- Kato, K., Loomba, P., & Asgotraa, S. (2019). Renewable energy and tourism: commitment for SDG 7. Paper presented at Tourism & SDGs (24-25, January, 2019, Massey University, Auckland, New Zealand.
- Miller, G. (2018). Sustainable tourism indicator measuring happiness & wellness. 3rd International Happiness Forum: Tourism & SDGs (19 September, 2018). Happiness Institute. Musashino University.
- Okada, M. (2018). Achieving gender equality and empowerment of all women and girls. 3rd International Happiness Forum: Tourism & SDGs (19 September, 2018). Happiness Institute. Musashino University.
Articles:
- Kato, K. (forthcoming). Gender and sustainability: promoting SDG 5 gender equality and empowerment of all women and girls: an ecohumanities perspective Journal of Sustainable Tourism, Special Issue: Critical thinking in SDGs.
- Okada, M. Contribution of Sustainable Tourism to Women 's Empowerment. Focusing on SDGs: Goal No5 "Gender Equality" in the Tourism Labour Market in Japan (in preparation for submission)
Funding appIications:
- 2019年度基盤研究 (B)(一般) Miller, G., & Kato, K. Developing Capacity assessment for tourism destination in Japan : Application of European Tourism Indicator System for sustainable destination management.