角尾 隆 さん
勤務先 |
株式会社神鋼環境ソリューション 環境プラント事業部 監理部 北九州プロジェクト室 |
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Q. | 現在携わっている仕事の内容について教えてください |
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A. |
現在、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物処理施設に関する業務を担当しています。PCBは熱に対して安定で、絶縁性?不燃性などに優れており、トランス、コンデンサといった電気機器や蛍光灯の安定器などに使用されていましたが、カネミ油症事件を契機に毒性が社会問題化し、1972年にPCBの製造が中止されました。国際的にもPCBを全く使用していない極地や遠洋にもPCB汚染が拡大してしまっていることなどを背景として、PCBなどの環境に残留しやすい有機汚染物質の廃絶?削減等を行うことを決めたストックホルム条約(POPs条約)が制定され、国内においても現在、事業所で保管されているPCB廃棄物は2016年までに無害化処理を行うことが法律で義務付けられています。 PCB廃棄物処理施設に関する計画?設計において、PCB廃棄物の適切な処理はもちろんのこと、その有害性から作業上の安全性や周辺環境への配慮も重要になってきます。お客様から注文を受け、施設の計画→設計→製作→建設→試運転を経て、無事にお客様へ施設を納入することができます。より優れた施設を納入するため、全ての工程において、知識と知恵を結集し、私自身もプロジェクトメンバーの一員として試行錯誤しながら業務に取り組んでいます。 |
Q. | 授業や卒業研究など、大学(大学院含む)で学んだことが、今の仕事にどのように活かされているか教えてください |
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A. |
大学そして大学院の授業では、環境分野に関する基礎知識(水環境科学、水理学、土木、生活環境システム、生態学他)について多くのことを学ぶことが出来ました。私が現在勤めている会社は、水処理、廃棄物処理、環境再生等、環境分野に関してあらゆる角度から事業を展開しており、学生時代に環境分野に関して幅広く学んだことは、業務への理解や物事の考え方などに大いに役立っています。 また、卒業研究では、土壌?地下水汚染に関する研究を行っていました。現在の会社に入社した当時は、土壌?地下水汚染の浄化に関する業務に従事しており、研究で得た知識を活用し、業務経験を積むことが出来ました。その後、企画業務(予算の策定、損益管理等)を経て、現在のPCB廃棄物処理施設の業務に従事していますが、学生時代に学んだ知識そして経験は直接的または間接的に役に立っています。 学生時代に学んだ知識、そして卒業研究で培う「あるテーマに対して本質を見極め、根気強く情報やデータを収集し、チームワーク力を駆使し、自らが考え結果を導き出す」力は、仕事の業務に直結しなくても十分に活かすことができます。 これまで関わってきた仕事の中で印象に残っていることがあればお聞かせください私がこれまで関わってきた仕事の中で印象に残っているものは、入社して3~4年目に携わった土壌?地下水浄化に関する案件です。これまでに携わった案件と比較して大規模なものであり、時間的に厳しい制約の中、設計、現場管理そして関係者対応(お客様?行政?住民調整他)など主導的に一連の業務に携わることができました。途中、失敗もあり、振り返る時間的余裕もない中、関係各位の協力のもと無事に完工することができたときの達成感は、今でも印象に残っています。この経験が強みとなって現在に活かされています。 |
Q. | 現在の勤務先に就職して「大学時代にやっておいたら良かった」と思うことはありますか |
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A. |
私が勤めている企業では、2015年度中期ビジョンの基本方針の一つに「海外市場への進出?拡販」を掲げています。これからは国内市場にとどまらず、国内で培った技術力を武器に、海外へ進出し、製品を拡販していかなければ、会社の成長と発展はありません。私自身、その上で基本となる語学力のなさを痛感しています。大学時代に海外留学も含めて、語学力の向上に努めていれば良かったと日々実感しています。 |
Q. | 現在環境システム学科で学んでいる後輩やこれから環境システム学科を受験しようと思っている受験生に向けてアドバイスをお願いします |
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A. |
地球温暖化問題を契機としてこれまでも環境問題はクローズアップされてきましたが、これからもますます環境問題は重要視されます。社会としても環境問題に対して解決を試みる人材を必要とする時代に入っています。環境システム学科では、環境問題に対して様々な角度からアプローチを試みるための知識を学ぶことができます。現在、環境システム学科で学んでいる皆さんもこれから環境システム学科を受験しようと思っている皆さんも、将来に希望と期待を持ち、夢に向かって努力してください。 また、学生時代の4~6年はあっという間に過ぎます。私自身、過去を振り返っても大学?大学院時代の6年間は非常に貴重な時期となっています。この時に多くのことを経験してください。多くのことに挑戦してください。後悔のない有意義な学生生活を送ってください。 みなさんの活躍を期待しています。 |
※2010年7月21日現在の調査に基づいて記載しています。