開発のための持続可能な観光の国際年
International Year of Sustainable Tourism for Development
国連は毎年、平和と安全、開発、人権の問題など、特定のテーマを制定し国際社会の関心を喚起し、それに 対する取組を一年を通して促進しています。
2017年は「開発のための持続可能な観光国際年(International Year of Sustainable Tourism for Development/IYSTD)」と定め、国連世界観光機関(UNWTO)がこの取組を主導しています。
世界全体の国境を越える観光客の総数は年間12億人を超え、観光がもたらす経済効果、異文化間理解、多様性や平和の促進などは明らかである一方、文化や遺産の保護、継承、自然環境の保全、労働環境の改善などの課題が浮き彫りにされ、観光における持続可能な取組みは喫緊の課題とされています。
国際年では、観光の役割として特に5つの柱を重要項目としてあげています。
- 包括的で持続可能な経済成長
- 社会的包摂、雇用創出、貧困軽減
- 資源の効率化、環境保護および気候変動
- 文化的価値、多様性および伝統
- 相互理解および平和と安全
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UNWTO賛助会員である本学は、国際年の趣旨に賛同し、科目、フィールドワーク、ゼミ活動、研究、イベント、セミナーなどを通じて国際年を促進していきます。
この事業は、国際年関連行事としてIYSTDウェブサイトに登録されます。
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和歌山大学観光学部における対象事業一覧
授業科目?| LIP(地域インターンシップ)?フィールドワーク | ゼミ活動 | 研究 | イベント | セミナー
※順次、対象となる事業を更新する予定です。
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授業科目
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | Sustainability & Management | 様々なサステナビリティ指標を紹介、地域コミュニティが積極的に持続可能なツーリズムを推進する手法を、現地フィールドワークを中心に学ぶ。 | Graham Miller / 加藤久美 |
2 | Tourism & Environment A | SDGsの17の目標についてその詳細を学び、ツーリズムの貢献について議論する。 | 加藤久美 |
3 | Heritage Tourism | 歩くツーリズムを中心に、スローツーリズムを定義、地域コミュニティーや環境への負荷を最小限にとどめ、サステナビリティに配慮したツーリズムのありかたを考える。 | 加藤久美 |
4 | 日本文化研究なでしこ会(自主演習) | 日本伝統文化茶道の研修、着物の着付け、四季?年中行事の研究と実践、茶道体験の実施などを通じて、(4)「文化的価値、多様性および伝統」について学ぶことを目標とする。 | 竹鼻圭子 |
5 | 和歌山沿岸の海洋資源と海洋観光(プロジェクト演習) | 海洋資源を活用した観光活動を通じて(3)資源の効率化、環境保護および気候変動について考察する。 | 竹林 明 |
6 | 観光と地球 | 「(3) 資源の効率化、環境保護および気候変動」およびSDGs11-15のベースとなる地球科学の基礎を学ぶことを目標とする。 | 中串孝志 |
7 | 観光と都市農村交流 | 大量生産?大量消費型のマスツーリズムと対比され、交流?共生等の理念を特徴とするニューツーリズムの一つである都市農村交流(グリーン?ツーリズム)の具体的な取り組みが、地域社会の持続的な発展や産業の担い手育成にどう関わっているのかについて概説する。 | 藤田武弘 |
8 | Tourism and the Environment | This class supports the UNWTO’s aim #2 to encourage environmental protection and to develop informed responses to climate change by asking, how or even if does tourism growth and development encourages social, cultural and economic sustainability? This course aims to address this question by increasing students’ knowledge and understanding of the complex relationship between tourism, development and the environment and is designed to develop the student’s critical and creative thinking skills in the sustainable tourism context. | Adam Doering |
9 | Community-Based Tourism | Community-Based Tourism (CBT) describes a bottom-up approach to tourism planning and community development, particularly in small rural destinations. Planning CBT involves local participation and a wild range of tourism stakeholders, together with financial incentives and employment. Therefore, CBT aims to achieve three dimensions of sustainability; economy, society, and environment, which cover the 17 SDGs. | Amnaj Khaokhrueamuang |
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LIP(地域インターンシップ)?フィールドワーク
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | 和歌山公園動物園(通称:お城の動物園)の地域資源としての観光活用~和歌山公園動物園の今後とリニューアルの検討~ | 動物を利用した、また市街地内の公園環境を活かした観光活動として、(3)環境保護、(4)文化的価値、また、SDGs15生態系保全について学ぶことを目標とする。 | 加藤久美 / 後藤千晴(クロスカル教育機構 生涯学習部門) |
2 | 農村ワーキングホリデーを通じた都市農村交流の「鏡効果」に伴う農山村地域活性化の効果検証 | 域学連携型の農村ワーキングホリデーの実施を通じて、学生と農業者との間に交流?連携?協働関係が生まれ、学生にとっては農山村の現状に関する当事者意識が芽生えるとともに、農業者や地域住民にとっては外部サポーターとしての学生の目線を通じて、日常生活に中に潜む地域資源の価値への気付き(鏡効果)が得られるなど、相互理解と持続的な地域づくりに向けたソーシャルキャピタルの醸成が確認される。 | 藤田武弘 |
3 | Activity for Project(En) | 世界文化遺産白川郷において学生が聞き取り調査を行う。現地調査では、世界遺産に棲む住民や観光の当事者から、近年における 文化的景観(合掌造り)の変化、自然環境の変化について学び、当該地域の文化遺産を守るツールとしての体験型ツーリズムについて模索する。IYSTDの側面的に、主に(4)文化的価値、多様性および伝統に関連するが、その他、(3)資源の効率化、環境保護および気候変動との関係もある。 | Abhik Chakraborty |
4 | Marine Sports Tourism and Community Development | The Miyazaki marine sports LIP meets #1 and #4 of the key areas emphasized by the UNWTO. The Miyazaki LIP asks students to design a project using surf tourism development to encourage economic growth in the rural seaside communities. Understanding surfing as an integral part of modern Japanese beach culture, the program also seeks to expand the definition of Japanese culture more generally. By doing so we explore how Japanese surf culture can be employed to encourage sustainable seaside tourism development for future generations. | Adam Doering |
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ゼミ活動
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | 聖地「高野山」と古都「京都」での文化体験と観光資源としての新しい視点の検討、考察 | 聖地及び古都として世界的な認知を得ている高野山と京都でのフィールドワークを通じて(4)「文化的価値、多様性および伝統」について学ぶことを目標とする。 | 竹鼻圭子 |
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研究
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | 精神文化にもとづく持続可能な地域づくり -地域と世界をむすぶ芸術と観光(三井物産環境基金) | 災害復興(福島)における芸術と観光の役割をサステナビリティの視点から検証 | 加藤久美 |
2 | ツーリズムによる希望の創出(科研事業) | 途上国における貧困削減における観光の役割を、特にユースエンパワメントの視点から考察する。 | 加藤久美 |
3 | Towards Effective Nature Conservation through Ecotourism in World Heritage Areas(研究プロジェクト) | 世界自然遺産の知床半島を中心に、自然保護の守り手役としてのエコツーリズムの役割について研究を行っている。本研究はIYSTDの(3)資源の効率化、環境保護および気候変動と強い関連性を持つプロジェクトであり、自然遺産地域の生物多様性の保護や、エコツーリズムを生かすことによって自然資源の持続可能なガバナンスに関する知識の創生を目標としている。 | Abhik Chakraborty |
4 | Sustainable Green Tourism Development in the Tea Cultivated Communities of Thailand and Japan | This research project aims to propose strategy guidelines on sustaining tea products and green tourism in the Japanese Yamato tea cultivated communities of Tawara in Nara Prefecture and one of the Thai’s Miang tea growing areas in Chiang Rai Province, Huey Nam Guen village. The 17SDGs will be examined through the strategic guidelines from tea producers and tourism stakeholders. | Amnaj Khaokhrueamuang |
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イベント
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | World Tourism Day 世界観光の日 記念イベント2017 パネル展示「サステナブル?ツーリズムの学び ~PATA 和歌山大学学生支部の研修旅行より~」 |
UNWTOの定めるWorld Tourism Dayの記念イベントとして開催するパネル展示を通じて、学生からみたサステナビリティ、そしてサステナブル?ツーリズムについて考え、学ぶことを目標とする。 | 観光学部国際化戦略委員会 |
2 | Sustainable Agritourism Workshop: Tourism & Sufficiency Economy | Sufficiency Economy (SE) is a moderating philosophy in line with the forces of globalization, which comprises three elements (moderation, reasonableness, and self-immunity) and requires two conditions: knowledge and integrity. SE uses for Thailand’s sustainable development strategy proposed by His Majesty King Bhumibal Adulyadej. It aims to reduce poverty and hunger, make good health and well-being, sustain natural resources and economic growth, and against impacts from globalization. This workshop offers participants to learn how this principle can apply to agriculture and tourism business. | Amnaj Khaokhrueamuang |
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セミナー
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
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1 | Sea, surf and sustainability: tourism, community and sustainable regional development | Bringing together university researchers, industry professionals, and community members the Sport Tourism and Sustainability Units will host a seminar in Chiba, Japan that contributes to SDG 14 "Conserving marine and ocean resources for sustainable development and using it in a sustainable manner". The seminar will explore how water sport activities and connections though sports like surfing can help aid in the sustainable development of the ocean and Japanese seaside communities. This contributes oto key theme #1 and #3. | Adam Doering |
№ | 登録申請事業 | 国際年に合致する点 | 担当者 |
2 | 観光教育研究セミナー2017 Vol1 in 東京 「スポーツツーリズム ~メガイベントが日本社会を変える~」 |
「持続可能な開発のための2030アジェンダ宣言」第37項では、スポーツは寛容性と尊厳を促進することによる開発および平和への寄与、ならびに健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与するものと位置づけられている。 2020東京五輪を始めとするスポーツメガイベントおよびスポーツツーリズムに対する理解の促進は、メガイベントのレガシーを持続可能な開発に資するものとして活用するために重要であり、これはSDGsの達成に貢献するものである。 |
国際観光学研究センター、観光学部広報戦略委員会 |